地方出身の現役理三生による語り溜め。

今季春から東大理三に進学させていただくryu.といいます。受験やその他様々なことを発信していきます。

理系受験の岐路・理科選択の道標

 ryu.です。
 今回は受験の上でかなり悩む人が多いであろう、理系にとっての理科選択のことについて書いていこうと思います。それぞれの科目について受験を経験してきた人の話も聞いてきましたので、今回は4つとも解説をしていけたらなと思っています。

まず何を基準に選ぶべきか

 まずは、それぞれの特徴などについて見ていく前に、選択する上での基準について書いていきます。納得したものを選んでいないと途中で選択科目を変えるケースや、そうしようとしても気がついた頃には手遅れになっているケースもありますので。
 とはいえ、基本的には進路を目指す上での判断なので、自分の将来などにとって有用か、またはモチベの湧くような分野を選択するのが得策といえるでしょう。そういった意味では戦略的に高得点を取りやすいから物理かなといった選択もありだと思いますし、純粋な興味から地学やってみようかなといった選択もありでしょう。
 ただ、志望する大学や学部によってはそれでは受けられない、となるケースも多いのでそこは絶対に確認しておきましょう。同時に文理選択や選択科目決定のタイミングで一度自分の志望校についてしっかりと考え直してみるのもいいでしょう。

それぞれの科目の特徴など

 それではここからいよいよ各科目について触れていきたいと思います。今回、ここの部分を書くにあたって、様々な方にご協力いただきました。この場を借りてお礼を申し上げます。お忙しい中で急なお願いにも関わらずご丁寧に情報を提供してくださり、本当にありがとうございました。

物理

内容や雰囲気

 物理では、その名の通り身の回りの物理現象について数学的に、そして定性的に理解を深めていく科目です。自分の身の回りで起こる様々な現象について数学的・理論的な理解が得られるのが最大の強みだと思います。
 基本的には理科の中では最も独立しており、他の分野の知識を必要とすることは化学や地学に比べると圧倒的に少ない印象です。さらに、暗記に頼っている部分が少ない分、それをきちんと理解する過程の方が大変だと思います。扱う物理現象について複雑化した際に分析して理解できるかはそこにかかっているといえるでしょう。
 大まかな区分としては、力学・電磁気学・熱力学・波動・原子の5つに分かれています。力学以外は他の分野に干渉してくる機会が少ないので、定期的に復習を要します。個人的には力学が根幹を占めつつある程度の難易度で、電磁気が最もとっつきにくいかなと思います。
 物理現象を理解していく中では数学的な面もそうですが、自分の直感とも掛け合わせていくとより理解がしやすいでしょう。また、微分積分とも相性がよく、それを用いた理解もしておくとかなり有用かと思います。

問題の特徴や得点のしやすさ

 主に二次試験についてのことになりますが、基本的に暗記事項に頼っている面はほとんどありません。強いていえば一般的な法則程度で、生物や化学と比べれば知識100%のような問題はほとんど見られません。(出ないわけではない)ただその分、ひとつ一つの現象についてよく熟知している必要がありますので、他と比べて量が少ないと言うのは完全に誤りだと自分は考えています。
 ただ、他と比べて高得点を出しやすいと言うのは事実だと思います。その分、一つ間違いを犯すとその後の答えがズルズルっと間違えてしまいます。そのため、かなりハイリスクハイリターンになります。また、難問である場合には最初の状況をうまく分析する部分が要になりますので、そういった意味でも注意が必要です。
 その分、センター試験などに関してはこれほど問題ごとの関連が高くないので比較的得点は安定する印象です。ただ、最近の傾向として計算に問われない根本的な物理現象について問うてくるケースも現れているので注意が必要です。基礎的な部分も抜け目なく理解していきましょう。  

化学

内容と雰囲気

 化学は様々な物質や反応など、主にミクロな世界の仕組みについて学んでいきます。四つの中でこれを選んでいる人がほとんどな気がします。分野としては理論・無機・有機の三つに分かれています。それぞれの分野は完全に独立しているわけではないので各々の分野をやるたびに以前の範囲の理解度が増すのも特徴かと。ミクロな範囲というわけでなかなかイメージから取っつきにくいものの、体系的に理解していくことでその面白さが見えてくると思います。また、物理や生物などとも関連がかなり深い分野でもあります。
 暗記と体系的理解をいずれも必要とし、実際に問題としてそのまんまの題材が出されることがあまりないことを考えるとどちらもかなりの高精度な理解・吸収が必要かと。一つ一つ知識や現象について個別に理解するのではなく、ある程度纏まった体系を意識して覚えていくことが肝要だと思います。さらに、化学にはある程度の「例外」が存在するのですが、その例外があるからこそ化学の面白さがあると言う研究者の方もいます。

問題の特徴と得点のしやすさ

 問題の傾向としては知識と考察、計算が良いバランスで組み込まれており、知識偏重になることはあまりありません(もちろんそう言った問題で取りこぼしたくないが)。物理よりは実数値を多く用い、生物よりは計算が複雑化するので、計算の正確さ、速さはかなり化学においては重要なファクターになってきます。さらに、特に有機化学の問題や実験を見て解く系列の問題に言える話ですが、一つ一つの操作が何を求めての操作なのかの見極めも必要です。
 また、化学の問題は総じて処理量が多く、時間の制約が厳しいことが特徴的です。加えて実験としての状況設定は真新しい(上に、難関大では見慣れないような題材も使われる)ことがほとんどであるので、適切に状況設定が素早く理解できるかどうかが大事です。もちろん既存の知識体系と結びつけられるのですが、その他計算処理などが生物に比べて多いことを考えると「速さ」「正確性」の勝負である場合が多いです。これはマーク式、記述式ともに言える話です。物理よりは実数値を多く用い、生物よりは計算が複雑化するので、
 得点のしやすさについてですが、生物と同じように高得点は取りにくいものの(生物よりは、という気はするが)、下振れも少ないと思います。

生物

内容と雰囲気

 生物は、その名の通り生物学について幅広く学習する科目です。生命や生体の仕組みに加え、それに伴う諸環境の関わり方について理解を深めることができます。基本的に化学との関連が深い印象ですが、それ以外の化学や地学に比べると独立性は強いのかもしれません。
 こうした性質上、物理などと比べるとやはり知識や暗記の比重が大きくなるようですが、完全にそうとは言い切れないのも事実です。そうした単語の定義や関連などをロジカルに組み合わせて体系的に考えることで覚えやすく、そしてより深く理解を進めていけます(生物に限らず超大事、単語だけ覚えるのはナンセンス)。こうした知識の定着と幅広い問題でアウトプットを繰り返すことで、実は思ったより暗記の意識なく自然に覚えていくようです。

問題の特徴と得点のしやすさ

 基本的にマーク、記述など形式を問わず知識重視の問題と考察重視の問題が多いです。いずれも問題演習でのアウトプットによって徐々に雰囲気を掴んでいくのが妥当な流れになるのではないでしょうか。ただ、知識をつかんでおく段階に関しては早めに終わらせておくのが得策なようです。というのも、考察系の問題においては自分で持ち合わせた知識と問題文中の情報とも併せて考察をする必要があり、おそらく知識の定着と考察の練習を同ステップで固めていくのは困難であるようです。そのため、高2までである程度知識は固めておき、高三に入ってからアウトプットに当てていくのが理想的かと思います。なお、試験によりその比重は大きく変化するようですので、志望校に向けて予めその問題をよく分析しておく必要はありそうです。
 また、生物にも少なからず計算問題がありますが、他の理科科目と比べてその比重や難度は軽いように思えます。自分の友達(理三)は「生物の計算は見掛け倒しで算数クラス」と豪語していました(面倒な計算から逃げる戦略も場合によりありだとも言っていた)。
 最後に、点数としては高得点こそ狙いにくいですが物理と違ってその点数は安定しやすいのが特徴的です。きちんとやっていればセンター形式は8割程度、記述形式でもある程度(東大など特殊形式である場合は独自に対策を積む必要こそあるが/これについては後々記事にする予定)までは保証されたと思っていいレベルのようです。また、繰り返しになりますが、試験によりその傾向が変化しやすいようですので、事前の分析や対策がどれほどしっかりできるかも大事なようですね。

地学

内容と雰囲気

 地学では、主な分野として、宇宙・地震・火山や地層・気象・海洋についてが挙げられます。中学理科の地学分野の発展系のような印象ではありますが、いずれにおいても扱う内容はレベルアップしており、また他の分野の知識が広く使われているのも特徴的です。物理も生物も、さらに化学の知識も必要とするなど、おそらく理科の中では他の分野が最も広く使われているのかもしれません。
 以上に示された通り、日常生活に身近な題材が非常に多く登場するため災害のニュースなどへの理解力などが向上するのが強みです。また、数学的な知識も広く使われており(星の等級と指数、地震震源推定と三角関数など)、こうした数学の使い道に高校理科の段階で触れることができるのも大きな特徴ではないでしょうか。
 また、他の理科科目と比較してその内容が薄いのも事実であり、努力次第では1年程度で国立2次クラスまで持ち上げていくのも可能であるようです。
 ただ、今の教育の環境においてはご存知の通りそもそも地学が開講されていないケースが多い上、受験科目に地学が含まれていない場合も多いので選ぶ際には注意が必要です。特に大学受験の科目については事前によく調べておきましょう。また、いざ選んだとしても世に出回っている問題集の少なさも気になります。やはり地学に関しては学習環境へのアクセスが一番大きな壁になってしまうのは避けられないようです。

問題の特徴と得点のしやすさ

 問題としては記述や正誤問題、計算問題が目立つ印象ですかね。また、一問一答のような形式で素早くスパッと答えられる問題も多いそうです。記述問題においてはかなり重要事項として出題される分野が決まっていることから、日々の問題演習の中で次第に対応できるようになっていくものだと思います。二次試験においてこの形式は頻出とのことですが、一つ一つ要素を丁寧に述べていくことで問題なく処理できるものが多いようです。また、正誤判定形式については記述でないことから幅広くいろんな要素からの出題が目立ちます。そのため、いずれにせよ正統派な対策が必要になってくることでしょう。
 点数に関しては二次の方が比較的点数を獲得しやすい印象です。また、回答にそれほど時間を使わないことから、もう一方の科目に時間を回せるほどの余裕は出来やすいと言う意味では有利なのかもしれません。

大学に入ってからの注意点

 ただ、地学に関してはここがかなりネックになる気もします。大学に入ってからの講義でメインの必修科目に地学関連のものが出てくるものは少ないので、そうした講義で周りの大学生に遅れを取ってしまいかねないと言うのも頭に入れておいて欲しいかなと思います。ただ、逆に地学系の実験や授業でリードを取れると言うのも当然ありますが。