地方出身の現役理三生による語り溜め。

今季春から東大理三に進学させていただくryu.といいます。受験やその他様々なことを発信していきます。

化学 基礎〜演習 pt.2 気体の溶解度

 ryu.です。
 昨日の記事に引き続き、今回は気体の溶解度に関する問題を扱いながら見ていきましょう。今回の範囲は苦手意識がある人が多いことを想定して基礎問題の比重を大きくしてあります。

基礎問題1

水素は、0°C、1.0×105 Paで、1Lの水に22mL溶ける。次の各問いに答えよ。
(1)0°C、5.0×105 Paで、1Lの水に溶ける水素は何molか。
(2)0°C、5.0×105 Paで、1Lの水に溶ける水素の体積は、その圧力下で何mLか。
(3)水素と酸素が1:3の物質量の比で混合された機体を1Lの水に接触させて、0°C、1.0×106 Paに保ったとき、水素は何mol溶けるか。

 まずは本当に基礎中の基礎から出題。先日の記事の内容を押さえていけば問題ないはず。
 (1)はHenryの法則を用いよう。基準となる溶解量がmolではなくmLで表記されているが、これは問題文中にもある通り、0°C、1.0×105 Pa(標準状態)での値という条件がついている。最終的に答えるのがmolの形というのもあるので、まずはこれをmolへと変換してやろう。

\displaystyle \cfrac{2.2×10^{-2} L}{22.4 L/mol}=9.82×10^{-4}mol

 と、ここで余談だが、化学の計算をするときには単位を一つ一つ略記せずにきちんと書いておくことをお勧めする。次元がきっちり揃っているかや、自分が今計算しようとしているものがより理解できるからである。
 閑話休題。それでは、あとはここからHenryの法則を用いるだけ。圧力が5倍になっていることを用いる。

\displaystyle 9.82×10^{-4}mol × \cfrac{5.0×10^5 Pa}{1.0×10^5 Pa}=4.91×10^{-3}mol

となるのである。ここは安牌でついてきてほしい。
 続いて(2)。これに関しては、前回の記事の後半にあった体積関係のことをしっかり理解していれば容易に解けることに気づくはず。溶解する気体の体積は、それぞれ溶けている圧力下においては一定であることを用いれば計算せずとも22mLであることがわかる。注意として、もちろんこれは溶けている物質量と圧力の両方が5倍になっていることから気体の状態方程式PV=nRTを利用しても、 問題文での圧力5.0×105 Pa、物質量4.91×10^{-3}molなどを代入して上述の条件における体積が一定であることは調べられる。

\displaystyle 5.0×10^5 Pa × V(L) = 4.91×10^{-3}mol × 8.31×10^3Pa・L/(mol・K) × 273K
\displaystyle  V = 2.2×10^{-3}L   

 最後に(3)だが、Henryの法則を用いるものの、これに用いる圧力は各気体の分圧である。混同気体の溶解度は各気体の分圧に比例する。問題で扱っているような状況では、水中で二種類の気体が独立し、それぞれの気体に対して分圧がかかっていると考えれば良い。(図1)

f:id:ryu_uts3:20200623102002j:plain:w400
 すなわちモル分率\cfrac{1}{1+3}=0.25を用いることで、
9.82×10^{-4}mol×\cfrac{1.0×10 ^ 6 Pa ×0.25}{1.0×10 ^ 5 Pa}=2.5×10^{-3}mol
となる。

基礎問題2

0°C、1.0×105 Paで、水1.0Lに窒素は23mL、酸素は49mL溶ける。0°C、5.0×105 Paで水10Lに空気を溶かすとき、次の各問いに答えよ。空気は体積比で窒素:酸素=4:1の混合気体とし、水蒸気圧は無視する。
(1) 溶けている窒素と酸素を気体として取り出し、圧力を5.0×105 Paにしたとき、窒素と酸素の体積はそれぞれ何Lか。
(2) (1)の気体の体積を0°C、1.0×105 Paに変換すると、それぞれ何Lか。
(3) (1)の気体の物質量はそれぞれ何molか。

 今回は先ほど出てきた混合気体をメインの題材にしている問題である。
 まず(1)なのだが、今回は気体の体積をもとに考えていく方が答えやすいはずだ。もちろん一度molに変換しなおしてから解くのでも全然問題ないと思う。
 はじめに窒素について考えていくが、溶かしている状況においては窒素の分圧はそのモル分率から4.0×105 Paであることが言える。以下、標準状態での体積で話を進めるとし、そこで10Lの水には23mL×4.0×10=0.92L(注意:1.0×105 Paでの体積)の分の水素が溶ける計算になってくる。これが圧力5.0×105 Pa下に置かれることになるのだから、Boyleの法則により

\displaystyle 0.92L × \cfrac{1.0×10 ^ 5 Pa}{5.0×10 ^ 5 Pa}=0.18L
と求められる。
 これを酸素の方にも用いればよく、
\displaystyle 49mL×10× \cfrac{1.0×10 ^ 5 Pa}{5.0×10 ^ 5 Pa}=0.098L
となる。
 続いて(2)だが、これは溶けている圧力下での体積と標準状態の圧力下での体積をしっかり区別できていれば問題ないはず。先ほど求めた体積のうち、5.0×105 Paに持っていく手前で処理を止めれば求める体積になることがわかるであろう。すなわち、水素は0.92L、酸素は0.49Lとなる。
 最後に(3)。(2)で求めた体積は標準状態での体積になるのだから、22.4L/molを用いてmolに直せばいいだけの話である。
水素 → \displaystyle 0.92L÷22.4L/mol=4.1×10^{-2}mol
酸素 → \displaystyle 0.49L÷22.4L/mol=2.2×10^{-2}mol
と求められる。以上。

標準問題

滑らかに動くピストン付きの容器に27°C、1.0×105 Paの条件下で気体Aが0.10molだけ入っている。この容器に液体Bを0.50mol加え、27°C、1.0×105 Paの条件でよく振り混ぜ、液体と気体の間に平衡が成り立つようにした。平衡時の気体の体積は、Bを加える前に比べて20%減少した。27°Cでの液体Bの飽和蒸気圧は2.0×104 Pa、気体の溶解度と圧力の間にはHenryの法則が成り立つものとして、次の各問に答えよ。
(1) 液体に溶けているAの物質量は何molか。
(2) 27°Cでピストンにより気体を圧縮し、その圧力を2.0×105 Paとした。気体と液体の間に平衡が成立しているものとして、このとき液体に溶けているAの物質量は何molか。(ただし、液体Bの体積変化はないものとする)
(3) 次に、27°Cのもとでピストンを引いて容器の体積をゆっくりと増加させBを気化させた。Bの気化が完了した直後の容器内の圧力は何Paか。

 今回の問題は一つ一つきちんと整理しないとややこしいことになっていくので心して。液体の飽和蒸気圧なども考慮されている。
f:id:ryu_uts3:20200624224900j:plain:w250:rightまずは(1)から見て行こう。容器の中には液体という形でBが残っていることから、気体中のBの分圧は飽和蒸気圧の2.0×104 Paである。これは、Bがこれ以上気体になったと仮定してもそこから圧力が大きすぎて液体の層へ押し戻されてしまうからである、と考えておけばよいと思う。そのため、Aの分圧は全圧が1.0×105 Paなので8.0×104 Paになる。

 また、気体Aが占めている体積を考えていくが、AとBの気体分子は体積として分かれて分布しておらず、一様に拡散して存在している状態とみなせるので、いずれの気体も同じ体積かつ全体の体積そのものとして扱うことができる。したがって、全体の体積が0.8倍になったので、Aの体積もBの体積もそれと同じ値になる。そのように考えると、気体Aの体積が0.8倍になることから、気体の状態方程式から気体として残っているAは0.8×0.8=0.64倍される。以上より、液体の方に残っているのは

\displaystyle 0.10-0.10×0.8×0.8=3.6×10^{-2}mol
である。
 続いて(2)。気体層を圧縮しているので液体の層は当然残る。すなわち圧縮されたとはいえ気体中のBの分圧は飽和蒸気圧の2.0×104 Paのままだ。つまり、これは圧縮されたら気体中のBの一部が液体の層へと逆戻りしていくことから説明がつく。したがって、Aの分圧は全圧の2.0×105 PaからBの分圧をひいた1.8×105 Paとなる。あとはここにHenryの法則を用いてあげよう。すなわち、分圧8.1 \times 10^{-2}molの時との比例関係から、
\displaystyle 3.6×10^{-2}mol \times \cfrac{1.8 \times 10 ^ 5 Pa}{8.0 \times 10 ^ 4 Pa}=8.1 \times 10^{-2}mol
であることがわかる。
 そして最後。ここまでくれば大丈夫か。(3)ではBが全て気体になった瞬間を議論していることから、この時のBの分圧は2.0×104 Paになる。すべての分子が気体として存在できる最大の圧力が飽和蒸気圧であるからだ。あとはBのモル分率が\cfrac{5}{6}であることを利用すれば、
\displaystyle 2.0×10 ^ 4 Pa \times \cfrac{6}{5}=2.4×10 ^ 4 Pa
になる。以上だ。この問題に関してはHenryの法則のみというよりももう少し広く知識や知恵を必要とする問題だったため、適宜自分に足りない知識があったなと感じたらその範囲の復習に出向いてほしい。

応用問題

次の問に答えよ。ただし、水の蒸気圧および、水の体積変化は無視してよい。
f:id:ryu_uts3:20200624225457j:plain:w150:right図に示した耐圧容器の総容積は4.0Lで、中央部には左右のA室とB室を等体積(2.0L)に仕切る栓Cがある。
栓Cを閉じた状態で、A室には窒素と二酸化炭素からなる混合気体2.32gを封入し、B室にはある量の二酸化炭素と0.50Lの水を封入した。(原子量:C=12、N=14、O=16)
(1) 27°Cで、A室内の気体の全圧は7.5×104 Paを示した。このとき、A室内の二酸化炭素の分圧は何Paか。
(2) 次に、栓Cを閉じたまま、27℃で容器全体をよく振り静置したら、やがてB室内の圧力が2.0×105 Paで落ち着いた。最初にB室内に入れた二酸化炭素の物質量を求めよ。ただし、27℃、1.0×105 Paでは、二酸化炭素は水1Lに対して0.030mol溶解し、二酸化炭素の水への溶解はHenryの法則に従うものとする。
(3) 27℃に保ったまま栓Cを開き、容器をよく振り静置した。このとき、容器内の気体の全圧は何Paか。ただし、水に溶解する窒素の物質量は、二酸化炭素のそれに比べて無視できるものとする。

 まず(1)から。この小問に関しては溶解は関係なく、ただ単に気体の法則を利用していくことになる。全圧が7.5×104 Paであることから、気体の状態方程式から、混合気体の物質量全体は

\displaystyle 7.5×10 ^ 4 Pa×2.0L=n(mol)×8.3×10 ^ 3 Pa・L/(K・mol)×(273+27)K
\displaystyle n=6.0\times10^{-2}mol   
である。この二つの気体が6.0×10^{-2}molを占めているので、求める二酸化炭素の物質量をx (mol)とおくと、残りの窒素は6.0×10^{-2}-x (mol)にあたるので、あとは質量を用いて辻褄が合うようにxの値を求めればよいだけである。したがって、
\displaystyle 44(g/mol) \times x(mol) + 28(g/mol) \times (6.0×10^{-2}-x)(mol)=2.32g
となり、これを解いてx=4.0×10^{-2}molとなる。したがって、あとは二酸化炭素の分圧を求めるだけなので、全圧にモル分率をかけて
\displaystyle 7.5×10 ^ 4 Pa×\cfrac{4.0×10^{-2}mol}{6.0×10^{-2}mol}=5.0×10 ^ 4 Pa
と求められる。
 続いて、(2)。二酸化炭素の物質量は気体中と液体中の二つに分けることができるので、それぞれについて考えていく。まずは気体層の方だが、こちらは圧力と温度が書かれているので気体の状態方程式を用いればよい。ただ、注意として気体の体積は水の0.5Lを引いた値となることは頭に留めておこう。
\displaystyle 2.0\times10 ^ 5 Pa \times (2.0-0.5)L = n_1 (mol) ×8.3×10 ^ 3 Pa・L/(K・mol)×(273+27)K
\displaystyle n_1 = 0.120mol   
となる。さらに今度は液体層に溶けている二酸化炭素の物質量を調べていく。今度はHenryの法則から、
\displaystyle n_2 = 0.030mol × \cfrac{2.0 \times 10 ^ 5 Pa}{1.0 \times 10 ^ 5 Pa} \times 0.5 = 0.030mol
と求められる。以上を足し合わせることにより、
\displaystyle n = 0.120mol + 0.030mol = 0.15mol
となる。
 いよいよ最後、(3)である。状況としては二酸化炭素のみが溶けると考えてよい状況になる。ここで窒素に関しては体積が増えるだけなのでboyleの法則から分圧を求めることは容易いだろう。すなわち、(1)での窒素の分圧が2.5×104 Paだから、
\displaystyle P_{N_2} = 2.5×10 ^ 4 Pa \times \cfrac{2.0L}{(2.0+1.5)L}=1.42×10 ^ 4 Pa
となる。問題は二酸化炭素の方だ。全部で0.15mol+4.0×10 ^ {-2}mol=0.19molであるから、このうちx (mol)が気体として存在することにしよう。そうすると、二酸化炭素の分圧を\displaystyle P'とおいたとき、気体の状態方程式より
\displaystyle P' Pa×3.5L=x(mol)×8.3×10 ^ 3 Pa・L/(K・mol)×(273+27)K
\displaystyle x=1.40×10 ^{-6} P' mol   
という情報が得られる。これに対して液相に溶けた二酸化炭素は
\displaystyle 0.030mol×0.5\times \cfrac{P' Pa}{1.0 \times 10 ^ 5 Pa}=1.50×10 ^{-7} P' mol
と表される。以上の二つを足し合わせると0.19molになるから、
\displaystyle 1.40×10 ^{-6} P' mol+1.50×10 ^{-7} P' mol=0.19mol
\displaystyle P' = 1.23\times 10 ^ 5 Pa   
である。以上より、それぞれの分圧が分かったので、あとはこれを足し合わせて1.37×10 ^ 5 Paが求める答えとなる。